カシス

井上陽水「カシス」の音楽ダウンロード
アルバム AAC 128/320kbps
前作のカヴァー集は、ふらっと入った酒場で、延々と再生されていたので聴くでもなく聴いたのだが、井上陽水のニュー・アルバムに、こうやって向かい合うのは何年ぶりだろう。オリジナル・アルバムとしては4年4ヵ月ぶりだそうだが、個人的にはひょっとすると10年、いやそれ以上ぶりかもしれない。わざわざ、そんな事から書き始めたのは他でもない。誰かにこのアルバムを10年前の作品と言って差し出されても、ひょっとしたら信じたのではないだろうか。それくらい相も変らぬ"陽水世界"である。1曲目は、かつて中森明菜に提供した……と言われたら、それもまた何の疑いもなく信じたであろうナンバーである。この"新しくなさ"には凄まじいものがある。 本作に収録された楽曲をあえて大きく二つに大別すれば、"実験的な編曲に、独自の言葉遊びを絡めたもの"と、"歌詞、メロディ、アレンジと、ストレートな、スタンダード的要素の強いもの"にわかれるだろう。僕がさっき書いた"新しくなさ"は、すべて"前者"のナンバーに感じるものだ。反対に"後者"には、ぱっと聴きには普遍的な、でも聴きこめば、彼の声にしか存在しないであろう独特な"歪み"が感じられる。具体的には8曲目のリヴァプール・サウンドや、三谷幸喜のミュージカルに劇中歌として提供したジャズ・ナンバーの9曲目がそう。単に個人の嗜好と言われてしまえば、まあ、それまでではあるが、アグレッシヴなナンバーより、耳を惹かれてしまうものがある。<br>かつて、テレビCFで彼が発する"お元気ですかー"というコピーが昭和天皇の病中に不謹慎という理由で、放映を規制する、という事件があった。その時は(基本的には今も、ですが)なんてナンセンスな、と思ったが、本人の意思を超えた次元で、陽水の声には、"不謹慎"と解釈されてしまう"歪み"があるのかもしれない。今回のアルバムで改めて気がついたその"歪み"こそが、陽水の最大の魅力、と考える。(CDジャーナル)
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<井上陽水「カシス」の音楽ダウンロード
前作のカヴァー集は、ふらっと入った酒場で、延々と再生されていたので聴くでもなく聴いたのだが、井上陽水のニュー・アルバムに、こうやって向かい合うのは何年ぶりだろう。オリジナル・アルバムとしては4年4ヵ月ぶりだそうだが、個人的にはひょっとすると10年、いやそれ以上ぶりかもしれない。わざわざ、そんな事から書き始めたのは他でもない。誰かにこのアルバムを10年前の作品と言って差し出されても、ひょっとしたら信じたのではないだろうか。それくらい相も変らぬ"陽水世界"である。1曲目は、かつて中森明菜に提供した……と言われたら、それもまた何の疑いもなく信じたであろうナンバーである。この"新しくなさ"には凄まじいものがある。 本作に収録された楽曲をあえて大きく二つに大別すれば、"実験的な編曲に、独自の言葉遊びを絡めたもの"と、"歌詞、メロディ、アレンジと、ストレートな、スタンダード的要素の強いもの"にわかれるだろう。僕がさっき書いた"新しくなさ"は、すべて"前者"のナンバーに感じるものだ。反対に"後者"には、ぱっと聴きには普遍的な、でも聴きこめば、彼の声にしか存在しないであろう独特な"歪み"が感じられる。具体的には8曲目のリヴァプール・サウンドや、三谷幸喜のミュージカルに劇中歌として提供したジャズ・ナンバーの9曲目がそう。単に個人の嗜好と言われてしまえば、まあ、それまでではあるが、アグレッシヴなナンバーより、耳を惹かれてしまうものがある。<br>かつて、テレビCFで彼が発する"お元気ですかー"というコピーが昭和天皇の病中に不謹慎という理由で、放映を規制する、という事件があった。その時は(基本的には今も、ですが)なんてナンセンスな、と思ったが、本人の意思を超えた次元で、陽水の声には、"不謹慎"と解釈されてしまう"歪み"があるのかもしれない。今回のアルバムで改めて気がついたその"歪み"こそが、陽水の最大の魅力、と考える。(CDジャーナル)
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アルバム

AAC 128/320kbps
11曲 | 47:00 | 48.9 MB  2013/07/01 配信
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